花研コーヒーブレイク
キク類のありようの変化
2025.11.17
こんにちは。花研の一研究員です。
ここ数年の夏場の高温がライフスタイルに及ぼした影響は計り知れません。昨日発表された流行語大賞の候補にも「二季(にき)」(四季が夏と冬の二つだけになったことを示す言葉)が挙がっていましたたことでもよくわかります。
そのことは、花の業界にもよくあてはまっていると思います。今はちょうどキクが旬なので、ひとつキクについてそれもちょっと違う角度から考えを巡らせてみたいと思います。
ガーデンニングで宿根草が定着、それも日本の暑い夏に対応できる在来種へ回帰傾向が見られます。この動態がよくわかるのがNHK出版『趣味の園芸』11月号です。
宿根草が特集され、とくに日本在来種をお勧めしています。その日本在来の中でも野菊が取り上げられていました。これってガーデンだけの話ではないです。
というのもガーデンから切花に転用される商品は多いのです。そして、ここ数年の間に生活者のライフスタイルが変化し、庭や鉢植えの花をちょいと切って飾るスタイルがとっても増えています。最近すっかり小さな花瓶が各ご家庭に定着し、丈の短い花も素敵に飾る方が増えています。
その生活者の飾り方実態などを先日Roomclipさんと調査し、報告セミナーを先日開催したところです。現代の戸建て住宅には花を飾る場所が実は多数あります。その一つにディスプレイスペースと呼ばれる場所があります。デッドスペースになりがちな壁面を窪ませて飾り棚を置けるようにしたり、壁そのものにでっぱりすぎない棚をつけたりし、そこにはお気に入りのものを飾るというものです。
いわば現代の床の間です。床の間は和室前提ですが、ディスプレイスペースはそもそも部屋という概念ではなくデッドスペースの効率的利用です。ですからあらゆるところ、それこそ玄関の壁面という場合だってあります。そこには推し活グッズを飾る人もいれば花を飾る方も多くいらっしゃいます。前述の調査では花を飾る場合サイズ20cm程度の小型花瓶が活躍しています。
花瓶が小さいのでお庭の花でも花首だけでも活けるに問題ないため、お庭や鉢物から拝借した花も、お花屋さんでお買い求めいただいた花も分け隔てなく飾れるというものです。そこで、ガーデンから屋内に入る花が増え、野菊やイソギクも屋内で愛でる機会が増えるというものです。ガーデンから切花利用になった花は多数ありそれこそルドベキアやエキナセアなどがあいますがこれらはある程度草丈がありますね。しかし前述のそれこそイソギクなどは丈が短い性質です。小さく飾る場が拡大しているのでそのようなサイズ感の菊類においても切花として見直されると思います。
【追伸】
全国で菊花展が開催中されています。この機会にぜひ足を運んでみるといぢでしょう。見方を変えたり飾り方の変化を加味していただけると、古典的な様々な菊に再発見が多数あると思います。全国のイベントスケジュールはNHK趣味の園芸サイトのこちらから。
それではみなさま、ごきげんよう。
『フラワービジネスノート2026』には初めてキクが描かれています。

『フラワーオブザイヤーOTA2025』の紹介ページも併せてご覧くださいませ。2025年はキクが最優秀賞でした。












