OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

寒さを凌ぐ灯「シクラメン」

2026.01.06

こんにちは。ゲストブロガーのプロテアです。

 

年も明け、寒さもいっそう厳しくなってきました。寒さが厳しいと、物も生命力を落とすため、日常に彩りがなくなるように感じてしまいます。しかし、そんな季節でも鮮やかな色の花を咲かせる植物があります。

 

シクラメンです。冬のギフトなどでも人気がありますね。

シクラメンを育てた経験がないと意外と知り得ないことかもしれませんが、シクラメンは球根植物で、丸く扁平型の球根をしています。「シクラメン」という名前は、ギリシャ語の「円」や「丸い」という意味に由来していて、この特徴的な丸い球根の形から(または咲き終わった後に花茎がらせん状に巻くことから)そう呼ばれるようになったようです。

その球根は、古くは豚の飼料などとしても利用されたことから、日本では「ぶたのまんじゅう」という異名を持っています。あるいは、花の形が“かがり火”に似ているところから「カガリビバナ」などという別名も。

 

エレガントな花姿からは想像できないほどにユニークな部分が多く、その栽培管理過程でもまた、ほかの花ではあまり類を見ない大変な工程があります。「葉組み」と言われる作業です。

 

「葉組み」とは、シクラメンの葉を株の外側に向かわせるように株の中心を開けることです。そのことで花芽が株の中心から上がってくるようになります。またハート型の葉の向きを揃え、全体的にきれいなドーム型の外観に仕上がるよう整えるのです。このように、より見栄えを良くし、ギフト性、商品性を高めるために欠かせない工程です。

また、実際に販売されているシクラメンでは葉に隠れていてよく見えませんが、実はシクラメンの球根は上部が露出した状態で土に埋まっています。葉組みをすることで風通しがよくなり、シクラメンの球根を湿気による病害から守ったり、殺虫剤などの薬の散布がより効果的になるなどの利点もあります。

 

地中海沿岸地域原産のシクラメンは、高温多湿な日本の夏とは相性が悪く、カビが生えやすくなったり、病気になりやすくなってしまうのです。つまり、見栄えを整え、病害虫を防ぐという両方の意味において、葉組みは欠かせないの工程なのです。

 

この葉組みは必須でありながら、なかなか大変な作業です。一度行っただけではきれいな形にならず、成長とともに形が戻ったり、後から生えてきた葉や花によって全体の形が崩れたりするので、何度も継続的に行っていく必要があります。

また、シクラメンの葉は一定以上の力を込めたり、無理やり曲げようとすると球根から抜けてしまい、その抜け跡から球根に病気が入ってしまうこともあります。きれいに整えるために行っているはずの葉組みですが、失敗すると葉がなくなって見た目を損ねてしまうことすらあるのです。

 

この葉組み作業は園芸や農業の授業コースでは必須課程であることが多く、私も農業高校時代に何度か経験しました。葉組みをしても、翌週の授業には新しい葉が生えたり元の形に戻ったり、葉っぱの向きがバラバラになったりで、仕上がるまでに何度も作業をした記憶があります。正直シクラメンに関してはほかの作業の記憶があまりないくらい、葉組みばかりやっていました…。

 

つまり、商品化され、きれいに成形されて販売されているシクラメンは、農家さんが何度も何度も注意を払って根気よく葉組みされたご努力の結晶と言えます。そう思うと、ますますシクラメンの花がかがり火のごとく煌々と輝いて見えてきます。耐寒性が高めで冬でもきれいな花を咲かせ、皆さんもお店などで見かけた際はぜひ買って育ててみてください。この厳しい寒さを乗り越える灯(ともしび)になってくれるのではないでしょうか。

 

それでは皆様、ごきげんよう。

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