花研コーヒーブレイク
経済界にも広がるスティックトレンド!?
2025.06.30
こんにちは。上半期最終日、夏越しの祓の日の花研ブログです。
6月25日の日経新聞に、“「スティック」ホルダーの時代”という見出しがありました。
目にした瞬間は、ステークホルダーの読み違いかと自らの目を疑いましたが、確かにスティックホルダーとあります。スティックホルダーとは「こん棒を持つ者」を意味し、豪腕なる者を揶揄する造語でした。
最初は本当に、枝物の生産者や、あるいは原油高を背景に薪を保有している人たちの時代が来たということかと、思わず真面目に受け止めてしまいました。
さて、そんな“スティック”つながりで思い出すのが、昨今の花き業界における枝物(=スティック)のトレンドです。枝物だけを取り上げた書籍『四季の「枝もの」』(河出書房新社/佐藤真矢著)が最近出版されましたが、観賞用の枝物に特化した一般向け書籍は、過去にも例がなかったかと思います。枝物専門のサブスクサービスもありますし、枝物専用の花瓶も開発されているくらいですよ。
こうした流れにあると、“スティック”と聞けば枝物を、“ブランチ”と聞けば朝食と昼食を兼ねた“brunch”ではなく、条件反射的に枝物の“branch”を連想してしまう・・・業界人ならではの職業病でしょうね。
ちなみに、スティック(こん棒)にちなんだ名前の花として「リューココリーネ」があります。
ギリシャ語で「白いこん棒」を意味し、その名は花の蕊(しべ)の形に由来するとか。
意外なところに、こん棒が隠れているものですね。
当ブログにおいて、スティック(小枝)を楽しむ人の出現と新しい文化の誕生について紹介しております。
その時のコラムにあるように、“Stick Nation!”といえばお気入りの棒を見つけた人がSNSで紹介するコミュニティのこと。
しかし、もし「スティックホルダー」が「豪腕の持ち主」を意味するようになると、“Stick Nation”も「豪腕国家」として、全く別のニュアンスを持つ日も来るかもしれません。
はたまたそのうち、日本語では棒を持つ力を暴力とをかけて「棒力」という造語がささやかれる日がくるでしょうか。あるいは、花き業界の生産と消費を牽引する枝物パワーとして「棒力」という言葉が生まれる日が先に来るか。
Stick(棒、小枝)は、直訳すれば自然や文化を楽しむツールであり、新たな産業の可能性を秘めたアイテムです。しかし、比喩的に使われれば、一気にパワーや覇権の象徴にもなりうる。言葉の持つ力と危うさはまさに紙一重ですね。
いずれにしても、スティック(Stick)は経済面でも文化面でも今後ますますキーワードになっていくと思った次第です。
それではみなさま、ごきげんよう。 今週もよろしくお願い致します。