花研コーヒーブレイク
色素だけじゃない!色の発現のしくみ
2025.10.28
こんにちは。ゲストブロガーのプロテアです。
ここ最近は急に冷え込んだりする日もありますがまだまだ秋、そして秋といえば紅葉!ということで、今回は紅葉についていろいろつぶやこう…と思ったのですが、紅葉から興味を持って花や植物の色について調べていると、少し面白い話を見つけたのでそちらについてつぶやいてみようと思います。
そもそも花を観賞するうえで色はとても重要な要素だと思います。
例えば花を買うとき、使いたい花の品種は決まっていないけどこの色は使いたい、○○の花を使いたいからそれに合う色の花を選びたい、など色を真っ先に気にすることもあるでしょう。もちろんほかの重要な要素として、香りや形とかもあって、色が一番重要な要素だ!と言い切ることはできませんが、逆に色が重要度の低い要素だ、ともなりません。また、野生の中でも花の色は重要な役割を持っていて、繁殖のために花粉などを運んでくれる虫や鳥などを誘引することに役立ちます。
このように自然界でも観賞の上でも重要な花の色ですが、基本的には色素の蓄積によって決まり、その量や組成以外にも細胞のpHや金属イオンの影響などによっても色調が変化するそうです。
農研機構のHPによれば、花の色を構成する色素として主に、フラボノイド、カロテノイド、ベタレイン、クロロフィルの4つがあり、これらの化合物は特定の光の波長を吸収し、吸収せず反射した光の中で人間の目に見える範囲の光が色として認識されます。ちなみに、白い花は白い色素があるわけではなく、白い花に含まれるフラボノイドが可視領域の光をほとんど吸収しない無色の色素で、花弁に含まれる小さな気泡が光を乱反射するため白く見えているそうです。
前置きが長くなりましたが(というかほぼ半分前置きになりましたが)、以上のように色素によって発色するのが一般的によく知られている色の発現であるものの、実は色の発現にはもう1パターンあります。
それが「構造色」と呼ばれる色の発現で、例えばタマムシ、モルフォ蝶、クジャクの羽、CDの色などが挙げられます。構造色とは文字通り、物質表面の微細な構造で発色します。色素は使いません(あるいは、影響していません)。色なのに!
語弊を恐れず言ってしまえば、物質の表面は基本的にどんなものでも傷があったりして目に見えない小さな凸凹がありますが、その凸凹をあえて作って反射する光を選ぶことで発色している、みたいな感じです。
この構造色による発色は、物質表面の構造が壊れるまで半永久的であるため、色素を作り続けるエネルギーが不要です。また、素材の表面の構造を変化させられれば、塗料などで染める必要がなくなるためリサイクルしやすいなどの利点があります。
この構造色、実は花にも持っている種類があります。ギンセンカがそれにあたり、花粉を媒介する昆虫などの誘因に役立っていると考えられています。この構造色を発現する遺伝子を発見し、他の植物にも応用することで、人工授粉の手間の削減などが期待されているようです。
長尺の説明になりましたが、構造色はまだまだ研究中であはるものの、今後の研究次第では様々なことに応用できそうで楽しみというつぶやきでした。造花を構造色で発色させて今よりリサイクルさせやすくしたり(構造色を作る過程で塗料よりコストかかるかも…)、植物に応用で切れば退色しにくかったり、花持ちがよくなったりするんじゃないか、なんて期待を持っていたりもします。
花を筆頭に世界にはまだまだ不思議で解明されていないことも多いですが、それらが明らかになることで新しい楽しみ方が増えそうで、未来の可能性は尽きることがありません。
今回はここらへんで終わろうと思います。皆さんも身近で感じた不思議なことに目を向けると、意外な発見があるかもしれません。
それではごきげんよう。
参考資料
ついでに今晩のテレビ番組のご案内です。
本日10月28日夜10時30分より「夢が花咲く有吉園芸」(BS Aasahi)では、「今が見ごろの秋バラを大特集!」
バラの育種家さんをお招きして、バラの魅力を教わりつつ、育てるバラについての特集です。










