花研コーヒーブレイク
実物を見て深まる理解と正確な仕事【グラマトフィラム編】
2025.08.08
みなさんこんにちは。ゲストブロガーのウィステリアです。
今回は、私の日々の業務にまつわるお話をしたいと思います。
私の所属するチームでは、産地様から事前にいただく出荷情報を基に、大田花きで使用しているデータベースに情報を変換し、入荷情報を作成するといった業務を行っています。
その情報を基に、営業本部では買参人の方々に商品をお勧めしたり、荷受けや荷捌きを行うロジスティック本部では、荷物を仕分けるため商品の情報が載ったシールを発行・貼付するといった業務を行っています。そのため、情報を作成する際はスピードと内容の正確さが欠かせません。
しかしながら、植物に関する知識がゼロのまま入社した私は、産地様からの出荷情報に記載された内容や、容姿仕立てなどの特記事項の意味が想像できず、頭を悩ませることもしばしばあります。
先日も、ラン科の鉢物「グラマトフィラム」の出荷情報に「トルネード」「スイング」「シングルハート」などの記載が。
グラマトフィラムを見たことが無かった私の頭の中は、この植物がそもそもどのような姿をしているのか想像もつかなければ、「ハート」と記載があっても「この植物のどこかの部分がハート型になっているのか、それとも花びらなどにハートの模様が入っているということ…?」と全く意味を理解することができませんでした。「トルネードは茎かどこかが渦を巻いているということ?」「スイングは音楽用語?いやそんなわけがない…」と頭の中はハテナ???でいっぱいになってしまいました。
調べてみると、グラマトフィラムは大型の着生ランで、東南アジアからインドネシア、ニューギニア、フィリピンに渡り、原種は13種ほどが広く分布するようです。シンビジウムに近縁のようで、たしかに草姿が少し似ています。(世界の植物オンライン|キューサイエンスより)
大田花きには横浜の折本洋蘭園様からご出荷いただいていますが、日本農業新聞(2025年7月18日付)によると、なんと東日本でグラマトフィラムを生産しているのはこちらの折本洋蘭園様だけ。全国でも、グラマトフィラムを生育しているのは数軒しかないようです。折本さんは1シーズンに約2,000鉢を出荷するのだそうです(「日本農業新聞」記事より)。
グラマトフィラムは春~夏が出荷シーズンですが、そのような貴重な商品がせっかく出荷された機会ですので、文字列だけでは実物を想像できず実際に荷受け場まで商品を見に行ってきました。
実際に大田花きに到着した荷物がこちらです。
(↓シングルハート仕立て)
(↓スイング仕立て)
実物を見て納得です。ハート型の容姿仕立ても相まって、夏にぴったりな爽やかな色合いが可愛らしい植物でした。
「スイング仕立て」は、正面から見て左右に湾曲しながら茎が伸びていくような仕立てになっていました。全く想像が及ばなかった「トルネード仕立て」は、文字通り垂直に渦を巻くように茎が伸びていました。上手に表現したものですね。
折本洋蘭園様の様子は、JA横浜様のYouTubeチャンネルからご覧いただくことができます。
「JA横浜.“【Agri横浜2025年8月号】横浜市都筑区「グラマトフィラム」の生産現場を訪問しました!」
動画では、開花前のグラマトフィラムを一つ一つ手作業でハート型やトルネード型に支柱で誘引する様子が紹介されています。もうすぐ出荷も終盤ではありますが、大田花きにはまだご出荷いただいていますので、ぜひご覧になってみてください。
このような産地様の努力や創意工夫を無駄にせず、連携部署に商品の情報を正確に伝えるためには、私たちのチームも商品の実際の様子を確認したり、植物に関する知識を身に着けていくことがとても重要だと改めて感じました。
「お花や植物が好き」、その気持ちだけで入社した私ですが、今後とも植物や日々の業務に関連する事象への情報収集を怠らず、少しでも多くの人々に植物の癒しの力を届けられるよう精進していこう、そう改めて決心させられました。
それでは皆様、ごきげんよう。
[参考資料]
・日本農業新聞月(2025年7月18日)
・JA横浜 YouTube“【Agri横浜2025年8月号】横浜市都筑区「グラマトフィラム」の生産現場を訪問しました!”
・日本放送出版協会編(1991)『NHK趣味の園芸 世界のラン・不思議な魅力』日本放送出版協会
・最新園芸大辞典編集委員会(1983)『最新園芸大辞典第5巻G・H』株式会社誠文堂新光社
・キューサイエンス.”グラマトフィラム・ブルーム”.世界の植物オンライン|キューサイエンス(2025年8月8日閲覧)