OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ!

2022.09.09

こんにちは。みんなの花研ひろばです。

本日は重陽の節句、明日は十五夜(中秋の名月)。本来ならそれ周辺の話をして然るべきですが、本日はあえてスキップ。もし十五夜トピックスにご興味のある方はFMヨコハマ「Sunday Good Vibes!」ハナラボコーナーをご聴取くださいませ。あ、そうか9月4日に放送済みなので、タイムフリーでどうぞ。

 

さて、本日のトピックスは「ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ!」。ゴリラの学名の話です。

ゴリラの学名って‘Gorilla gorilla gorilla’だっていうことを初めて聞く人にとってはまあまあ衝撃なのではないでしょうか。

正確にはニシローランドゴリラの学名で、属名+種小名+亜種小名の構成でGorillaが3回続くことなります。なんでも最初は「ゴリラ」は一種と考えられていたのですが、あとからニシゴリラとヒガシゴリラが存在することがわかり、ニシゴリラの学名が‘Gorilla gorilla’に。そのあとさらにニシゴリラの亜種として「ニシローランドゴリラ」が特定されて、‘Gorilla gorilla gorilla’という学名が生まれたそうです。

animal_gorilla

3回同じ語彙が続く学名は珍しいのでしょうか。

ほかにすぐ思い浮かぶものがありませんが、2回までならほかにもあります。「アンギラ・アンギラ(Anguilla anguilla)」。何の学名だと思われますか?

 

ご存知の方も多いと思いますが、これはウナギです。

 

ヨーロッパウナギのことをAnguilla anguillaといいます。「ウナギ中のウナギ!」ってことなのでしょうか??

ちなみに日本ウナギはAnguilla japonica(アンギラ・ジャポニカ)。オーストラリアウナギというのもあってAnguilla australis(アンギラ・オーストラリス)、アメリカウナギをAnguilla rostrata(アンギラ・ロストラータ)というそうです。

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基本的には植物や微生物、ウイルスを含めすべての生物には、学名(Scientific name、世界共通の名前)が付いています。「ウナギ」と「anguilla」、あえて英名なら「eel(イール)」とあるように、その生物を特定する名前は複数存在します。実際、花き流通の世界では学名と英名と和名が混在しています。文化と習慣、便宜と学術上の分類、導入の歴史など様々な事情が交錯しているからでしょう。野菜の業界でも多かれ少なかれ似たような事情があると思います。

バラを例にとると「バラ」といえば和名、「ローズ」といえば英名、学名は「Rosa」といいます。ヒマワリだったら「ヒマワリ」が和名、英名は「サンフラワー」だし、学名はHelianthus(ヘリアンサス)、ユリなら「ユリ」が和名、「リリー」が英名ですし、学名なら「Lilium」になります。

ヒマワリのヘリアンサスもラテン語で「太陽の花」の意味です。日常会話で「ヘリで」といえば通常「ヘリコプターで」と解釈すると思いますが、花業界で「ヘリで」といえば「ヒマワリで」という意味になります。←ウソです。

 

さて、学名を付けるときはラテン語が基本。スウェーデンの植物学者リンネ先生が1700年代に使い始めたものなのですが、当時ラテン語は欧州においてカトリック教会や知識人の共通語であったことが一つの理由、もう一つの理由としてラテン語が論文に使われるなどアカデミックな言語として捉えられていたからなのだそうです。

もちろん人類にも学名が付けられていて、現在地球上で最も多い(ほかに人類がいるかどうかは別として)私たちの種は、ご存知の通りホモ・サピエンス(Homo sapiens)。ラテン語で「賢い人」の意味なのだそうです。ていうか誰よ、自らを賢い人とか言っちゃうホモ・サピエンス・・・!?

 

 

と思ったら、命名したのはリンネ先生でした。「考える人」「英知を持つ人」という意味で付けられたのだとか。その命名の通り、過去に学び人類の存続と平和を希求する人種として反映してほしいものですね。

 

おっとまたまた話が逸れました。軌道修正。

ラテン語の文法や意味が理解できれば、学名を見ただけでその植物の形状がどういうものか、或いは世界のどこに自生しているのか、見つけた人がどのようにその生物を捉えたのか(「ホモ・サピエンス」のように)がわかることもあります。

植物の例ならどのような果実を付ける植物なのかがわかることも。例えば、イチゴノキというツツジ科の樹木があるのですが、学名をArbutus unedoといいます。種小名にあたるunedoとは「1回食べれば十分(unumedo)」という意味に由来します。つまり「何度も食べる必要はない」→「実はおいしくない」ということが分かってしまうのです。※名前を付けた人の味覚によります。

 

また種小名にmultifloraが使われることがよくありますが、multifloraとはmulti-flowers、つまり「たくさんの花」の意味。Rosa multifloraというと小さな花をたくさんつけるノイバラ、Hoya mulfitfloraというとサクラランという植物で、こちらも小さな花をたくさんつけるのが特徴です。longiflorumとかlongifloraというとlong flower、つまり「長い花」を意味します。Lilium longiflorumという学名を持つ植物があるのですが、ユリでlong flowerを付ける種類、つまりこれはテッポウユリの学名です。

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ちなみに、Homoつながりでいきますと、ホモ・エレクトスはラテン語で「直立する人」、ホモ・ハビリスは「器用な人」、ホモ・ルーデンスは「遊ぶ人」という意味に由来しているのだそうです。学名を紐解くと人類の進化の過程も見えてきますね。

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学名は難しそうに見えますが、その名の由来を紐解いてみるとおもしろくてつい時間を忘れて没頭してしまいます。秋の夜長に学名と向き合うのも楽しいかもしれませんね。

それではみなさま、お仕事の方もそうでない方も、良い週末をお過ごしくださいませ。ごきげんよう。

 

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