花研コーヒーブレイク
サルトリイバラ 大田市場周辺にたくさん
2022.05.06
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
「緑道公園」といいまして、大田市場の周りは敷地を縁取るように森林公園がぐるーっと伸びています。この季節になって木々もだいぶ生長したせいか、日中でもほのかに暗く、濃いグリーンが散歩道を囲んでいます。夏場はとりわけ散歩が気持ちいいものです。
その一角、市場の敷地と公園とを隔てるようにフェンスがあります。先日、ふとフェンス越しに緑道公園を見ますと、灌木にツルが絡んでいました。花もついているようなのでこれはなんだろうと近寄ってみたら、こんな感じ。
図鑑などを参照してみると、これはサルトリイバラ(サンキライ)でした。写真の花は雄花のようです。雄花にはサンキライらしいあの赤い実がつかないので鳥(トリ)ちゃんにも食べられることなく、盛んに生長しているようです。手を伸ばせば届く範囲に、赤い実がつく素敵なツルがあればここまで大きくなるまで生えていることはないでしょう。近くに野鳥公園もありますから小鳥のごちそうになりますしね。
サンキライをちょっと調べたところ、大森に住んでいた川端茅舎(かわばた・ぼうしゃ)の俳句に、
「山帰来 石は鏡の ごとくなり」
という句があります。ここで使われている山帰来とはサンキライの花のことのようで、季語は晩春のようです。この俳句については、ネットでは解説が見当たりませんでした。「石は鏡のごとくなり」とサンキライとの接点の解釈にいまいち自信がありません。石を覆うように蔦が伸び、パチパチと小さく放射状に広がる花をつけるサンキライの様子を、力が強くなった晩春の太陽光が石に反射したように見えるということでしょうか・・・わかりません。私が思っている様子を適切に日本語に落とせているかもわかりません(笑)
彼はほかにもサンキライを詠んだ俳句があります。
「山帰来 一蝶寂と 石に影」
こちらの句と対になっているかもしれません。病弱であった川端茅舎は臥しがちだったと思われます。晩春の木々の新芽が伸びるころに普段は目立たないサンキライの花が集まって咲きますが、日差しも柔らかさから夏を予感させるように強くなり、石が光って見えたのかもしれません。つまり季節は移り変わるのだが俺は・・・という寂寥感があるように解釈しました。
彼は大田区に住んでいたことから図書館などに資料があると思います、俳句の背景についてはいつか調べてみたいと思います。なんだかしんみりとしてしまいまして失礼しました。
それではみなさま、ごきげんよう。