OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

偽りの紅茶連合

2025.07.18

こんにちは。みんなの花研ひろばです。

アタクシは毎朝エスプレッソを5ー6ショットがぶ飲みするほど圧倒的なコーヒー党。にもかかわらず、“紅茶派”と偽り、社内の地下組織である「紅茶連合」に加盟している。花研界隈の地下組織といえば、これまで「赤いスイートピーの会」や「ヌードルサークル」などいくつか存在していたが、この「紅茶連合」は比較的新しい非公式任意団体・・・いや団体にもなっていない。社内の席がフリーアドレスになってから生まれた紅茶愛好者の緩やかなネットワークだ。その誕生秘話は別の機会に語るとしよう。

 

紅茶連合が対象とする“ティー”の範囲は幅広い。ブラックティーのみならず、ルイボスティー、ハーブティー、スパイスティー、フルーツティーにまで及ぶ。ただし、活動はいたって地味で、ティーと名のつくこれらの飲み物について、嗜好を10秒ほど語り合ったり(全く深くもなければ、大したウンチクもない)、おいしい種類やブランドの情報を共有したり、ときにティーバッグを交換し合ったり、その程度のことである。

 

アタクシが紅茶派と偽るのは理由がある。実際にある期間だけ10:0で紅茶派になったことがあるからだ。

紅茶文化で名高い某国に滞在していたころの話である。その地で出合ったコーヒーは、horribleそのものだった(あくまで当時の個人的な感想にてSORRY!)。グローバルコーヒーチェーンであるコスタコーヒーは見かけたが近所にはなく、スターバックスはまだ進出していなかった。

あまりのコーヒーのひどさに耐えかね、日本の友人に嘆いたら、某有名チェーンのコーヒープレスと豆を送ってくれた。それは現地のカフェでいただくコーヒーより何倍もおいしかったが、それでもなお期待したコーヒーとは別物に感じられた。

マキネッタ(直火式エスプレッソメーカー)を購入してみたが、やはり心からおいしいと思える味には至らなかった。この国でおいしいコーヒーを日常的に飲むのは不可能だという結論に達するのは難しくなかった(あくまで当時の個人的な感想にてSORRY!)。

 

そこに代わりheavenlyにおいしいのが紅茶だった。

毎朝、なんの変哲もない白い缶から取り出された、紐もタグもない丸いティーバッグ。それにお湯を注いだだけのシンプルな紅茶が驚くほどおいしかった。どこの紅茶か聞くと、すぐそこのスーパーマーケットwaitroseで買っている普通の紅茶だという。

「なんでもないわ。紅茶にこだわりなんてないもの」

と言った人はハンガリーからの移民だったためか、紅茶にこだわりはなかった。waitroseに走り、教えてもらった紅茶売り場にたどり着くと、価格の安さに驚かされた。広くとられた紅茶棚の中で一番安いくらいの部類だった。毎朝の紅茶も含め、どんなに安価なものを選択しても、かの地での紅茶でがっかりしたことはない。カフェでも個人宅でも食堂でも、しきりに紅茶を愛飲した。

 

なぜかの地では紅茶がそれほどおいしいのか、ある人がその理由を教えてくれた。大きくは2つ。

ひとつは水の硬度だという。
その地の水は非常に硬度が高く、日本の平均48.9mg/L(軟水)に対し、200mg/Lを超えることもあるという。硬度が高い方がおいしい紅茶を淹れるのに向いているのだとか。しかしおかげで、電気ケトルの内側にはライムスケールと呼ばれる石灰が、鍾乳洞の如くがりがりにこびりついてる。硬水に含まれるマグネシウムやカルシウムだから問題ないということなのだろうが、住民たちはまったく気にする様子がない。毎朝鍾乳洞でお湯を沸かしている。

 

もうひとつは茶葉の鮮度がいいからだと。
紅茶の消費量が多いため、棚の回転率が早く、必然的に茶葉の鮮度が保たれているのだという。
至極納得である。加工品とはいえ、紅茶も一種の“生鮮品”の一面もあるのだ。そういえば、鳴り物入りで日本に上陸した某コーヒーブランドのお店に行ったとき、まったくおいしいと感じなかった。コーヒー豆の保存状況を知って妙に納得したことがある。好みの問題かもしれないけど。

適切な水、鮮度、回転率、保存方法など、おいしい紅茶の条件はきれいな切花の条件と重なるように思える。

 

いずれにせよ、あのときのheavenlyな紅茶がなければ、今ごろ紅茶派を名乗ることも、モグリで紅茶連合に加入することもなかっただろう。

日本では、あの地でいただいたなんでもない日々の紅茶のおいしさに出合うことは稀だ。なんともあの味に再び出合いたいものである。

では、良い週末を。

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