花研コーヒーブレイク
初夏のイメージと花について
2025.07.14
こんにちは。花研の一研究員です。
初夏のギフト提案としてフルーツと花のコラボ写真などがあり、一般的にはとても素敵に映りますが、業界人としてはどうしても気になってしまうことがあります。
エチレン作用です。メロンやマンゴー、モモなどは素敵なフルーツですが熟しながらエチレンを大量に発生させます。エチレンとは老化ホルモンの一種で、フルーツが熟れる、熟すとはこの老化ホルモンによるところが大きいのです。とりわけ甘くおいしそうな香りを放出するフルーツは、たいがいエチレンガスをどっさりと出していると思って間違いないでしょう。代表選手がリンゴであるように。
で、エチレンがどっさり出るとどうなるか。すぐ隣に置いてあるまだ堅かったキウイフルーツなんかも柔らかくなる・・・ということも起きかねないのです。特にビニール袋に入れてあったり、小さな密閉空間に一緒に置いてあったりするとなおさらです。Aからぶわっと出たエチレンは近くにあるフルーツBや野菜Cなど、比較的エチレンに反応しやすい果実(植物全体)にも影響する可能性があるということです。
花の品目でも、いくつかはかなりエチレンガスに反応しやすい性質を持つものがあります。このような性質を「エチレン感受性が高い」と言います。
とはいえ、エチレン感受性が高い花が飾ってあるすぐ近くに、エチレンをたくさん放出する果物が置いてあるからと言って、みるみるうちに花の寿命が終わっていくわけではありません。生活者が花を楽しむうえではそれほどナーバスになる必要はないと思いますが、流通にかかわるプロであれば認識の上、花の日持ちに影響が出ないよう配慮しておきたいものですね。
カタログ写真などでおいしそうなフルーツと花が一緒に撮影されている様子をみると、ついついそんなことを考えてしまうのです。カタログの撮影はまた別問題ですから、その写真のことを言っているのではありませんよ。一緒に花とフルーツが一緒に写真に写っているところ見ると、つい条件反射的にエチレン反応のことを心配してしまうという職業病のようなものです。
お医者様でも草津の湯でも治りませんな。
さて、最後に花に関するテレビ番組のお知らせです。
NHK総合の番組『サンクスonデリバリー』、7月16日(水)夜7:57~の放送は「コロンビアの花農家に“ありがとう”」。
詳細はこちら→コロンビアの花農家に“ありがとう” – サンクスonデリバリー – NHK
ご紹介まで。
それではみなさま、ごきげんよう。