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ユーパトリウムが独立する日

2023.08.18

こんにちは。みんなの花研ひろばです。

7月にユーパトリウム(西洋フジバカマ)の第1回研究会が山形で開催されました。

※詳細は日本農業新聞(8月9日付)や花卉園芸新聞8月15日号に掲載されていますので、ご参照ください。

市場流通では、西洋フジバカマといえども秋の七草であるフジバカマやヒヨドリバナ、以前は学名にMakino(マキノ)の名前が付いていたヨツバヒヨドリバナ、あるいはユートロキウムの学名が付くものも、すべて便宜的にユーパトリウムとして流通します。

 

↓今朝の仲卸さんで見かけたユーパトリウム

EUP

 

どうやらそのユーパトリウム熱がだいぶ高いようなので、取引はどんな感じかと思い、大田花きの取引データを見てみました。

するとこんな感じ↓

stems

こっちは取り扱い金額↓10年で4倍以上に増加。

turnover

 

取引数量は10年で234%増、取引金額は444%増・・・いやいや、ちょっと待ってくださいよ。

国内の切花生産は、ここ10年で20%減、20年で40%減という状況の中で、この異常なまでの取引増はどーゆーことですかーッ!

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と目を疑いたくなるのも無理はありません。しかし、安心してください。事実です。見間違いではありません。偏差値高すぎ。

取引単価は2012年の2倍近くに。2012年には25円だったのが、2018年から50円、 50円(2019)、 54円(2020)、52円(2021)、 48円(2022)と50円前後の単価で推移しています。ユーパトリウム、なかなかの有望株ですね。といっても今回研究会を主催された方に伺いますと、ユーパトリウムは定植から利益体質になるまで3年はかかるようで、枝物並みの長期運用株のようです。

 

さて、一旦冷静になって数字を見てみます。大田花きでだいたい年間取引金額1,400万円くらい。ユーパトリウムは現在、大田花きの品目分類では中小企業ならぬ、中小品目として「その他の草花」の中で(400というコードが使われ)ほかの草花類と一緒になっています。※サブコードがついて整理できるようになっています。

 

年間取引額が1,000万円以下ですと、なかなか独立した品目コードをもらうことができないかもしれません。ユーパトリウムは2012年ころは300万円くらいだったので、400の中に入れられても無理はありません。400(その他の草花)のエースはリキュウソウで約5,300万円、セカンドベストがタラスピで3,000万円、それでも尚独立していませんから、なかなか独立への道は金額ばかりではないのかもしれません。しかし、元々「その他の草花」に属していた中小零細品目でも、著しい成長を遂げ、見事独立を果たした品目はあります。例えば、クレマチスやカボチャがそれにあたります。

 

時代とともに年間取引のアップダウンはあるものの、今の取引で1,400万円くらいになりますと独立コードを持っているものもあります。

1,400万円クラスならニゲラ、ユーフォルビア、クリスマスローズなど。

2,000万円クラスではナノハナ、カボチャ、スミレ、ブバルディアが該当します。季節商材であるカボチャがその他の草花から独立したことを考えると、やはりこのくらいの取引金額は欲しいところです。

3,000万円クラスになるとキンセンカ、コスモス、マーガレットなど、だいたいどこの生花店さんでも置いてあり、生活者の認知度もかなり高くなります。

3,500-4,000万円くらいは、ハボタン、ストレリチア、カンパニュラ、センニチコウなど。

 

今回の研究会開催の目的はいくつかあるものの(後日、別メディアの連載コラムでご紹介いたします)が、最終目標は、季節の草花として定番化することだそうです。生産地域を広げ、出荷量も出荷期も拡大、安定させて、初秋の定番品目までに成長させること。ユーパトリウムもまずは年間取引金額2,000万円(あいや、大田花き基準ですよ、あくまでも)を最初のステップとして目指したらいいのではないでしょうか。且つ、品種も多いことですし、一つの品目として独立した品目コードを持つということ。個人的には近い将来そうなるのではないかと推測しています。

 

もし、ユーパトリウムが独立したら、独立記念日を作るのもいいかもしれません。「ユーパトリウム独立記念日」。何月何日かはさておき、決まったら「フラワービジネスノート」にも書きますよ、ええ。

 

フラワービジネスノート2024は9月1日発売です。

※ユーパトリウム独立記念日は、2024年版にまだ記載はありません。

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それではみなさま、ごきげんよう。

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