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母の日にちなみ日本におけるカーネーション生産の発祥に迫る

2021.04.09

こんにちは。泥油育子です。

生活者の皆さんにとっては母の日は「まだ先」感覚だと思いますが、花き業界ではもう「本番」です。

 

ということで、カーネーションにちなみちょっと小ネタトークです☆

2019年、日本におけるカーネーション生産は100周年を迎えました。2021の今年は102周年ということになります。

キクよりもバラよりもいち早く営利生産が始まったのが実はカーネーションです。

きっかけは、米国シアトルに在住していた澤田氏(ファーストネーム等詳細不明)という方が持ち帰った3品種を、澤田氏自身が1909年に東京市外中野町城山(今の中野区でしょうか)に小規模な温室を建て、栽培を始めたのが国内におけるカーネーション栽培の発祥なのだそうです。ではなぜ澤田氏がカーネーションを持ち帰り、温室まで建てて栽培を始めたのか、そこも実は謎のようです。なんといってもファーストネームもわからないくらいですからそこまでの記録はないようです。どのような経緯でシアトルに在住していたかも不明なのですが、江戸時代から続く日本人の園芸熱といいますか、澤田氏が米国で既に生産されていたカーネーションにご興味を持たれて、日本でも営利栽培して広めたいと思ったと推測するしかありません。

母の日の起源であるバージニアの教会でアンナジャービスがカーネーションを配ったというのが1907年ですから、日本で栽培のトライアルが始まったのは、その直後だったというわけですね。

 

ところが澤田氏は1912年志半ばでこの世を去ることになってしまいます。3年もしないうちだったことを考えますと、ご本人も無念だったことでしょう。その遺志を引き継いだのが土倉(どくら)龍次郎氏。書籍等でお顔写真が紹介されていますのでご覧になったこともあるかもしれません。

土倉氏は東京府上大崎(上大崎といえば目黒寄りの品川区。現在目黒駅に当たる場所)に温室を建てカーネーション栽培をスタートします(1910、明治43年)。横浜正金銀行シアトル支店長をしていた弟の土倉四郎氏、あるいは駐米全権大使夫人だった実の妹の内田政子氏の伝手でアメリカから様々な品種を導入。1921(大正10)年には当時皇太子であった昭和天皇が英国へ渡航された際にも、伝手で誰かに英国の種苗会社に交渉してもらい、カタログから12品種を購入して日本に導入したのだとか。このように、この時代にしてはかなり貴重であったインターナショナルな伝手を駆使して国内の品種を増やしていきました。

 

1920年目黒駅前の温室は車庫として提供を求められたため、1920年に林業試験場(目黒区、現在も林試の森公園として憩いの場となっています)の隣接地に温室を建て、多くの生産者(園丁)が集まったといいます。枯らさずに苗を育て、立派な花を咲かせて出荷するというのは、かなり難しかったようですが土倉氏は、技術をオープンにして多くの人に伝授したようです。徐々に拡大していったカーネーション栽培は、神奈川県高津町溝口に移転。これが川崎市のカーネーション栽培の起源となります。

 

1925年、オレゴンで20年間カーネーション栽培を学んで帰国した犬塚卓一氏が多摩川沿い(現在の大田区田園調布)でアメリカ式の大規模な温室を建て栽培を開始。ここは「玉川温室村」ご呼ばれ、花の一大産地に。今でもバス停の名前や石碑が残っています。(写真を撮りましたが見つからずすみません・・・💦)土倉氏の呼び掛けで大日本カーネーション協会が設立され、会長に土倉氏、副会長には犬塚氏が就任。会員も増え品評会も行い、生産が拡大していったといいます。

ざっとですが、このような経緯で国内のカーネーション生産が始まっていきました。多品種を海外から集めて日本に導入し栽培技術を体系化した土倉氏は「カーネーションの父」、アメリカ式の生産体系で生産量を増やし、国内で生産を広めていった犬塚氏は「カーネーションの母」と呼ばれているのです。

昭和初期、このように温室で生産していた主要品目はカーネーション。その後カーネーションを凌ぐようになったのはバラ。カーネーション、バラに次いで多かったのがスイートピー、フリージアなど。洋花の一大品目として日本で最初に産声を上げたのは、カーネーションだったというわけですね。

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母の日にちなみ、国内におけるカーネーション栽培の発祥についてご紹介いたしました。

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ちなみに、本年の母の日は5月9日です。

コロナ禍にあり当日お母さまに花をお手渡しできない方も多いと思うので、花き業界では「母の月」としてもプロモーションしています。

 

※本日のブログ制作にあたり、「カーネーション生産の歴史」「花の品種改良の日本史」を参照いたしました。

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