OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

フラオタ2010発表 近未来の花のワードローブを占う

2010.11.30

フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA2010の結果が発表されました。

(結果はこちら)

 2005年から純粋なアンケート形式で始めたフラオタですが、結果の選出方法に若干の課題を感じ、2009年より方法を見直し、実績によるノミネート産地&品種の抽出→OTA販売担当者による振り落とし→審査員による選考という3段階形式を取っております。

 

20万程の候補の中から、最終的には80-100程度にまで絞り、合計16名の審査員に投票してもらいます。

面白いことに100近く候補があっても、審査員の票はいくつかに集中するものでした。

 

本年受賞のそれぞれの品種に対しての所感は上記の「結果」のページに記載してある通りですが、全体傾向として花の人気潮流の”動き”を見ることができます。

 

結果を見てみると、本年は新旧のトレンドが混在した結果となりました。

昨今の大ブームであった大輪ゴージャス系、曲線、グラマラス、大きなフェースといったキーワードを持つ花の入賞と、ラインフラワーが2種入賞し、リバイバルの予兆が見られます。2005年からの結果を流れで見ても、これほどはっきりとしたラインフラワーが2つも入賞したことはありません。

大きな流行の転換期を迎えているのかもしれません。

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写真は左から

最優秀賞 スイートピー リップルラベンダー(英晃農園)

優秀賞 シャクヤク エッチドサーモン(野島茂一郎)

特別賞 デンファレ ユキホワイト(JAおきなわ)

新商品奨励賞 バラ 万華鏡(大井農園)

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流行はころころ変わりますが、全部丸ごと変わってしまうわけではありません。

例えば10着の洋服が入るワードローブをイメージしてください。

これが流行のボックスだとします。10着あるうちの1着の洋服が古くなったらそれを捨てて新しいものを買う、或いは新しいものを1着購入したとしたら、10着しか入らないから古い一着は処分する。そんな風にワードローブの中は徐々に変化していくものです。もちろん定番は定番で長年着続ける。ワードローブの中身はこれまでの流行を携えながらも定番は定番としてキープし、新しいエッセンスを取り込みながら、全体としては少しずつ流行を作っているのです。

 花の流行もこんな風に構成されているのではないかと思います。

 

個人の趣味であれば、10着をある日思いつきで「全取り替え!」というものありうることでしょう。しかし、流行というのは生活者のマジョリティの心の動きによって作られるものですから、一朝一夕にはがらりと変わるものではありません。

また、徐々に変わりはしますが、変化する方向として選択肢はあまり多くはないのではないかと思うのです。

縦なのか横なのか、大か小か、直線か曲線か、曲線でも1回うねるのか、10回うねるのかの違いだけで、直線の対極に究極のブリブリ曲線があるとすると、流行というのはそれを行ったり来たりしているだけなのではないかというのが私の仮説です。

つまるところ形状を構成している要素というのはシンプルなもので、その組み合わせによって新しいものが作られているように見えるのではないかということです。

今流行っている洋服や海外のファッション雑誌などを見ていると、私が小さい頃に巷のお姉さんたちが着ていた洋服にとても似ています。しかし丸っきり同じではありません。それは今日の流行に辿り着くまでにワードローブの中に新しいエッセンスが入ったためでしょう。同じことを繰り返しながらも、ちょっとずつ新しい組み合わせになっていくのです。流行は繰り返されるというのはそういうことではないかと思うのです。

 

恐らく近い将来、花の世界でも以前流行ったようなラインフラワーの人気が高まるときが来るのではないかと予想しています。

しかし80年代にはやったラインフラワーのままではいけません。近年の流行である「大輪」、「ブリブリ」、「曲線」、「ふわふわ」などのキーワードを携えたラインフラワーです。

私の読みでは2013年・・・なぜ2013年なのかはまた次の機会に・・・この年をピークに大輪ブームは残されながらも、ワードローブの中でシェアが増えるのはストップすると仮定しています。

その代わり、直線的なエッセンスを持ったラインフラワー、或いは一回り小さな花など、以前流行った花と結合したような花がもてはやされる時代がくると予想しています。

育種をされる方や新品種の導入をご検討されている方は、こんな角度で考えても面白いかもしれません。

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