OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

【量の問題】クスノキの香り その後とそして

2024.03.22

こんにちは。みんなの花研ひろばです。

 

クスノキの香りについて一昨日の小欄でご紹介させていただきましたが、大田市場のすぐ横の緑道でクスノキの枝をたくさん拾って癒されているうちに、その緑道以外でもクスノキだけは枯れ枝で認識できるようになりました。小枝の形状や樹皮の質感、折れ方でしょうか、不思議とクスノキとわかり思わず拾い上げてしまいます。

 

上を見ずに(つまりそこにクスノキが生えていることに気づかずに)下を見て落ちている枝で、葉も付いていないのに「これはクスノキ」とわかるようになったのです。これもクスノキの落ち枝をたくさん見たことで認識できるようになったのです。わかるようになるには量が必要だということですね。確認方法は切り口の香りを嗅ぐこと。これでカンファーの香りがすれば正解。最近は正答率ほぼ100%。落ちている枯れ枝を見て何の植物かわかるなんて(クスノキだけですが・・・)、自分史上なかなか画期的なことと思いました。(いや、養蚕用の桑の枝は落ちていても桑とわかるかも)

 

さて、そんな新しい境地に至ったある日の週末、屋外でチーム練習をしていたのですが、昨今の強風で折れた枝やら枯れ葉やらがコートの外周に散乱しているのです。しかし、もはやそれらは景色でしかなく、そこに棒切れがあることすら誰も認識しないくらいのものです。しかし、帰り際にコート整備をしていて気づきました。長さ50cmくらいの棒切れが1本だけ落ちていて、それがクスノキであることに!

 

折れた枝の端っこの香りを嗅いで、クスノキであることを確認。練習会のメンバーにも香りを体験してもらうと、みなさん「どこかで嗅いだことがある!なんだっけ、これ!?」とか「とてもいい香り!」「花粉症に効きそうなスーッとしたいい香り(←その人の個人的な意見)」と喜んでいました。

 

そのうちの一人は、世界的をリードする有名企業GAFAMの一つにお勤めの女性。過度なストレスが溜まっているのか(?)、その枝の香りが良すぎて、花束をもらったかのように小躍りしながら枝を取り上げ、「家に持って帰る!」と50cmの枝ごとカバンにしまい込んだのです!いや、この芸当には驚きですよ。芸当といっていいのかわかりませんが、言ってみればその辺に落ちている棒切れですよ。泥もほこりも付いているただの・・・。それをスキップして喜んでカバンに押し込んで持って行くとは。

クスノキの香りはそれほど一瞬で人の気持ちを虜にするものかと、感心してしまったものです。

 

香りが誰かを虜にするといえばもうひとつ。今週、農研機構から新しい研究結果が発表されました。大久保直美先生たちの研究で、なんとトルコギキョウの花の香りが猫ちゃんを虜にするのだとか。

 

・・・トルコギキョウの花って香りあったっけ??

 

トルコギキョウは、茎の香りは強香で目をつぶっていてもその茎を切ればそこにあるのはトルコギキョウとわかります。決して嫌な臭いではありません。日常的に嗅いでいると落ち着く匂いだなと個人的には思います。とはいえ、花の香りを感じたことがありません。

 

大久保先生の論文によると、ネコちゃんがマタタビの葉に対する反応と同様の特徴的な反応をトルコギキョウの花に対して示したことから研究を進めると、実はトルコギキョウの花にも香りがある品種が存在し、しかもその匂いからマタタビの成分が検出されたのだそうです。さらにはほぼ無臭のトルコギキョウからもネコちゃんを引きつけるマタタビの成分が検出されたのだとか。

ペットフード協会によると、全国で飼育されている猫は推計約900万頭、飼育世帯は約500万世帯とあります。今後ネコ×トルコギキョウでなにか新しい道が開けるかもしれません。

 

論文はこちら

(英文ですが、GOOGLEの翻訳機能などをご利用いただければ日本語でも読んでいただけます)

 

「猫にマタタビ」、「猫にトルコギキョウ」、そして「(忙し)女子にクスノキ」とでもいいましょうか。

香りはまだまだ未知の領域が多いように思います。これからの更なる研究の発展に期待したいと思います。

 

それではみなさま、ごきげんよう。

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