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比較文化論:「残菊」とは 

2020.09.25

こんにちは。ボンソワール桐生です。

 

9月9日が重陽の節句という習慣が中国から日本に伝わり、旧暦のこの頃は菊の開花時期でもあったことから、キクを飾る、香りを聞くなど、菊の節句として平安時代にその文化、習慣が発展したそうです。

詩句においては「残菊(ざんぎく)」という表現があります。重陽の節句が過ぎても咲いているキクを残菊というそうです。中国の漢詩では9月10日、一日でも過ぎると残菊。中国の詩句で詠まれている残菊とは、キクの名残ではなく重陽の節句を過ぎたキクは意味がないものなのだそうです。(大切な時期に間に合わないことのたとえとして「十日の菊、六日の菖蒲」という慣用句があります。六日の菖蒲は5月5日の端午の節句を過ぎた菖蒲は意味がないということから)

これらは、たまたま読んだ「菅原道真詩文における残菊をめぐって」という論考にある記載を基に自分なりにまとめたものです。

一方、日本では重陽の節句という習慣は輸入されましたが、“「残菊」の捉え方はどうだったか”というのがその論考の焦点で、興味深いところです。

それによればですね、日本における残菊とは重陽を過ぎても咲き誇るキクを趣があるものとして素晴らしいとしているそうです。その道真の残菊についての捉え方が広まり、日本では残菊を称賛する世界観が確立したのだとか。

 

この感覚の違いは気候風土が影響していると推測されています。日本の平安時代の文化は京都にあると思いますが、その地でのキクの開花シーズンや開花の盛りが中国と違ったので、残菊の考え方解釈が日本的になっていったのだろうというもの。現代においては、いわゆる物日がその日にのみ意味があり、翌日はもう価値がないとすると商売上は大変ですが、物日を過ぎても花に趣があるという捉え方は、とても日本人らしくて商売上も活用できそうです。

そういえば今年は母の月というキャンペーンだったなあ、そんなことをその論文を読んで思いました。

結論はないのです。比較文化論についての紹介でした。

 

それではみなさま、良い週末をお過ごしくださいませ。

 

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