花研コーヒーブレイク
農産物全体から考える視点の重要性
2025.07.15
花研の一研究員です。
私たち農産物を扱わせていただいている立場からすれば、花き類のみならず米、野菜、果物、畜産、鶏卵、鮮魚、はたまた林業と、より幅広く日本列島を見て考えていく必要があるように思います。すべてをミクロで見るのではなく、俯瞰的なものの見方を身につけるということです。
一度にすべてを勉強するのも大変ですから、まずは野菜と果物から見てはどうかと思います。
便利な資料を探すと・・・ありました。農林水産省農産局園芸作物課が、「野菜の情勢」、「果物の情勢」をまとめて発信しています。非常に興味深い資料だと思います。
なるほどと思ったのは、野菜と果物の世代年齢別の消費量についてです。花きにおいては、5年ほど前までは年齢が若い方ほど花きを買わないというデータが定説でした。その定説がここ4-5年で大きく覆り、最新データでは20代(29歳以下)が30代、40代の年間支出額を追い越しています。花きの場合は、ここにヒントやチャンスがあるのではないかと思われます。
これが野菜と果物ではどうかというと、なんと野菜は世代通りで年齢を追うごとに消費量は増えていきますが、果物は花と一緒で20代の消費量が30代、40代を上回っているのです。
昔から、果物の支出と花は似ているところがあると言われていて、20年くらいまでに果物の消費を見た時は、20代も30代を追い抜くほどの消費はなかったと記憶していますが、昨今の世代別消費変化も似ているとは、恐れ入りました。20代の果物の消費は具体的にどういうものなのでしょうか。コンビニで冷凍したフルーツのスムージーの販売などを見ていると、案外と若い方が購入しています。スーパーではカットフルーツが売られていますし、もしかするとこのあたりがきっと20代の消費に寄与しているのではないでしょうか。とすれば、花きの消費喚起を考えるヒントにならないでしょうか。
こんなふうにほかの生鮮品や農産物の全体を俯瞰してみると、何か花き産業を考えるにあたり参考になることもあるかもしれません。周辺を見ることも重要ですね。
★ご参考
果樹をめぐる情勢(令和6年10月)(PDF : 5,203KB)
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最後に、NHK総合での番組『サンクスonデリバリー ~コロンビアの花農家に“ありがとう”~』の放送は本日です。
輸入商社さんを通じて大田花きにもご出荷くださる生産農家さんの密着取材が放送されます。
番組HPを拝見しますと以下の通り案内されています。
「実はカーネーションの6割以上を輸入に頼る日本。中でもコロンビアは国内シェアの約4割を占め、我々の冠婚葬祭を支えている。日本からの「ありがとう」を届けるべく現地の花農家の元へ!出会ったのは生産の最前線を担うシングルマザーたち。彼女たちは麻薬ビジネスが激化させた内戦から逃れて、花農園で働いていたのだ。花の生産隆盛の裏にある苦難の歴史を紐解きながら、力強く生きる人々の心揺さぶる物語をドキュメントする。」
番組MCを務めるアーティストのAIさんも感涙しそうですが、どんな内容になっているのでしょうか。楽しみにしたいと思います。
それではみなさま、ごきげんよう。