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角上魚類もすごいが魚ばかりの「sakana bacca」もすごい 魚屋さんに学ぶ仕入れ力と情報と文化、利便性の提供

2020.06.26

こんにちは。ボンソワール桐生です。
 

鮭の冷凍切り身をよく買います。お弁当に最適ですから。
とはいえスーパーの鮮魚売り場に行くといろいろな魚についつい目がいってしまいます。おいしそうだがイマイチどう調理すればいいのかわからない・・・。だから購入に至らないこともあります。しかし、いまどきはどちらもそうでしょうが、尾頭付きの魚でもお願いすればすぐにさばいてくれます。頭と内臓を取るとか、三枚におろすなど。そしてレシピについてもアドバイスがあります。スーパーではふらふらっと寄っていくだけで、「ああ食べたい」に始まり購買まで繋がる動線ができています。こういう丁寧な接客があるので魚売り場って人気が回復している気がします。町の鮮魚専門店も今はそうかもしれません。
 

歴史を遡れば、古くは魚屋さんがあって、しかしながら(これは他の生鮮品もそうですが)スーパーマーケット売り場の活性化で町の鮮魚専門店数は減少しました。スーパーのワンストップショッピングという便利さがうけたわけですね。しかしそれはそれで満足度が足らないということもあったようです。そうした中、私の理解ですが角上魚類(かくじょうぎょるい)さんという魚の専門のチェーン店が新潟から始まり、関東首都圏に拡大していきます。品ぞろえ、価格、そしてプロショップならではのアドバイスが素晴らしいのですが、魚の仕入れ目利き力があってのことだそうです。
そして、今のスーパーが力をいれているアドバイスなどプロならではのサービスをずっと磨き続けているのです。角上魚類さんのHPを見ると、1都6県22店舗、売上が353億円(2020年3月期)。すごいですよね。お魚屋さんが一店舗平均16億円も販売するのですから。
 

さて、最近ほかにも気になるお魚屋さんがあります。フーディソン(FOODISON)という鮮魚のBtoBを主に行う会社です。スマホで簡単に仕入れることができる先進的な仕組みを提案しているようです。レストランの方が仕入れたいというご要望をスマホというお手軽なディバイスを通して時間的、距離的なロスを解消(多分、決済も)しているのでしょう。

そのFOODSIONがsakana bacca(サカナバッカ)というブランド名で小売店も展開されています。そのプロ向けの仕入れ力を活かしてスーパーにはない魚や魚文化を発信する小売店として都内出店しています。(写真は都内店舗の一例)

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※たまたま行ったときは、もう遅くて閉店間際の店舗の商品冷蔵庫↓残りの商品は少ないのですが、“写真撮影OK”というのが現代の若人が経営している様子を伺わせますね。スマホを向けると商品の体裁も整えてくれるくらい従業員さんは気が利きます。

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このsakana baccaもこちらも情報を提供するという点に力が入っています。首都圏でエキナカに魚の専門小売ですからね。これまではあまり見ませんでしたよね。レシピに迷う切り身というよりもすでに調理された魚の総菜ばかりを販売しています。あん肝、ウミブドウ、タコわさ、イワシの南蛮漬けなど、極めて素材に近い形のものから、がっつり調理済みのものまで。魚は好きだけど取扱いが面倒、今の季節はごみも臭くなるしねとか、例えば「今晩はお刺身が食べたいけどスーパーまで足を延ばすのはちょっと億劫だな~。そうだ、駅で買って帰ろ!」という現代人のニーズを的確にとらえて提案されているところも素晴らしいと思います。

 

翻って花業界は、専門小売店とスーパーの売り場シェアを消費者の購入金額の変化で見ると、徐々に小売店からスーパーマーケットに移ってきていますが、まだまだ専門小売店の方が高い。特に東京や神奈川は専門店の方がずっと多いような状況です。

 

魚のようにスーパーのワンストップという価格や利便性が、花の場合でも同様に小売店のサービスを凌駕するとは思えません。少なくても今の時点ではですが。小売店の提供するサービスや情報、お悩み解決など、スーパーでの切り花の買い上げが増えているとはいえ、すぐに全部が置き換わるとは思えないのです。(スーパーにはスーパーの売り場の良さがあり伸びています)
魚業界で起きていることから学ぶとすれば、旬の情報や文化の提供は価値が損なわれることがないということでしょうか。そして生活者がその文化や価値を生活に取り入れやすいように基盤を整えるということ、あるいは提案するということですね。マーケティングの基本では、①だれに②何を③どのように販売するのか+αが他社との差別化というのが必要とされる四つの要素。角上魚類さんもsakana baccaさんもこれらの点において情報提供をすばらしく上手にされています。そのベースには目利き仕入れ力があると言えます。卸売業界は目利き仕入れ力がありますが、一方でどう情報提供をするべきかというところを明確にすれば、魚業界の成功企業のように、消費者にもっとご理解いただけるのかなあと思う次第です。

 

それではみなさま、よい週末をお過ごしください。

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