花研コーヒーブレイク
ドナルドトランピ
2026.08.12
「ピ」なんです。
「プ」じゃなくて。
ドナルドトランピ。
なにかというと、トランプ大統領にちなんでつけられた「学名」のことです。つい先日、ビスマルキアの時に属名に政治家の名前が付けられるのは珍しいとご紹介させていただきましたが、ドナルドトランピはいずれも種小名に付けられています。
その一:ネオパルパ・ドナルドトランピ(Neopalpa donaldtrumpi)
カリフォルニア州で発見された新種の小さなガの学名です。
成虫の頭部にある黄色と白の鱗粉が、トランプ氏の特徴的な金髪の髪型にそっくりだったことから命名されました。
カナダの進化生物学者で昆虫学者のバズリック・ナザリ(Vazrick Nazari)氏が、知名度の高い人の名前を付けることで、北米の脆弱な生態系や未発見の微小生物の保護へ関心を高めることを目的としてこの名を付けたそうです。
その二:ダーモフィス・ドナルドトランピ(Dermophis donaldtrumpi)
パナマで発見されたイモリの仲間(両生類)。
目が見えず地中に穴を掘って頭を埋める習性を持つ生物なのですと。
命名したのは、持続可能な建築材を手がける企業「エンバイロビルド(EnviroBuild)」。この新種のイモリの地中に頭を突っ込む習性を、「気候変動に関する科学的な合意から目を背ける(頭を突っ込む)トランプ氏の姿勢」に重ね合わせたといいますから、風刺的な意図が込められているというわけです。エンバイロビルドは、オークションでこの命名権を落札したのだそうです。
その三:テトラグラマ・ドナルドトランピ(Tetragramma donaldtrumpi)
米国テキサス州にある約1億1000万年前(白亜紀前期)地層から見つかった“化石ウニ”。絶滅種です。2016年に化石が見つかったのですが、当時行われていた米大統領選挙でのドナルド・トランプ氏のキャンペーンに感銘を受けた命名者がトランプ氏を称え、この種小名に「donaldtrumpi」とつけたのだそうです。
最後が「プ」ではなく「ピ」になるのは、学名を付ける際のラテン語化のルールによるものです。人名をそのまま種小名にすることは少なく、通常はラテン語の語尾を付けて「○○の」という意味にします。
例えば男性の名前の場合、Darwin → darwinii(ダーウィンの)など。
そういえば、ロバート・フォーチュンの名前が付いた種小名がいくつかありますが、いずれもfortune→fortuneiだー。
従って、trumpもtrumpiとなるわけですね。
国際藻類・菌類・植物命名規約(ICN)や国際動物命名規約(ICZN)の慣習では、人名に由来する種小名は、
男性1人に献名 →-i
女性1人に献名 →-ae
複数人に献名 →-orum,-arum
などの語尾を付けると決まっているようです。
これらのルールがわかったら、なんとなく自分でも学名何かに学名を付けられそうですね。この話には続きがあります。ドナルドトランピのほか、だれもが知る世界的著名人(しかも現役!)の名前が学名に付けられた例がありますので、またご紹介したいと思います。
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