OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

園芸に関するおすすめ本

2025.01.23

こんにちは。花研の一研究員です。

原書房さんの『観葉植物の文化誌』を読んでいます。この“文化誌”シリーズは、ほかにもキク、バラ、ユリ、雑草、松などと、品目ごと、時にユニークな切り口で括られたテーマごとに出版されていて、いろいろ読んでいます。

テーマはかなり幅広く、文化というだけあって話題が幅広く興味深いんですよ。今回は『観葉植物編』図書館から借りてきました。
いわゆるモンステラやサンセベリア、ゴムの木の話ばかりかと思えば、ポインセチアやセントポーリアの話もありますし、植物を使ったインスタレーション、最新の観葉植物業界に関する考察、環境破壊による原種の危機など、なかなか考えさせる内容です。詳しくは各自手に取られてご覧いただくことをお勧めします。
私が印象的に思った下りをここで2つ感想含めてご紹介したく。
ある植物が商業的に成功を収めても、その権利は育種家などに帰属し、遡って原産国にまでもたらされることはこれまでほとんどありませんでした。例えばポインセチア。メキシコが原産国ですが、持ち帰った米国で園芸的育種がなされ世界で大ヒットしたわけです。ところがこのポインセチアの遺伝子を調べると、まだまだ育種的に利用されていないと思われる領域が90%ぐらいあるのだとか。すると、まだまだ原産国にチャンスはある。いつかメキシコで育種しその成果を自国へもたらすことができるだろうという一節があります。

原産国という概念についてそもそもどうあるべきなのでしょうか。深いですねえ。しかしポインセチアの潜在能力がまだまだるというのも一方で喜ばしい情報です。

 

それから、観賞植物の範囲が近い将来変わるだろうという一節もあります。既に苔、藻類を観葉植物的に飾るケースが増えていることから、従来のような熱帯性植物だけではなくなるだろうという指摘です。これはごもっとも。コケは世界でも日本が最も消費しているのではないかと、世界中でそうした苔利用が増えると観葉植物の範囲がワールドワイドに変わるでしょうし、統計データなんかも変わるでしょう。USDA(アメリカ農務省)のデータにmossとか書かれる日が来るとすれば、そのときはどのような単位が使われるのでしょうか。これまた興味深いです。

 

また、藻類についてはこれはまた難しいですよ。藻類についてはアーティスト集団であるエコロジックスタジオのインスタを見てもらった方がご納得かなと思います。書籍内でも写真が紹介されていますが、藻類を試験管に入れ、装飾、あるいは食料源源や燃料として家庭の空間に置く様子などが紹介されています。

以上、花きに関する本を紹介しました。

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