花研コーヒーブレイク
鉄拳宰相ビスマルクの木
2026.08.06
「ビスマルクの木」なんてあんの?
って思いますよね。
なんならピザのビスマルクに因んだものかと思う方もいらっしゃるかも。
ビスマルクの木は、本当の名前は「ビスマルキア(学名:Bismarckia)」。マダガスカル原産のヤシ科の植物。つい先日、大田市場花き部仲卸の中央花卉さんの店頭にありました。
全長は2メートルくらいでしょうか。お隣のキクと比べても1本でこのボリュームですから、圧巻の存在感ですよ。さらにはシルバーリーフですからシルバーで大きな葉がかなり目を引きます。
最初に見た時は3本あったありましたが、5分後には1本になっていました。その存在感を使ってみようという買参人さんに瞬殺で引き取られたのでしょう。
さて、このビスマルキア。ヤシ科の植物「ビスマルキア」の名前は、鉄拳宰相の異名を持つドイツ帝国の初代宰相オットー・フォン・ビスマルクと関係ないと思うでしょ。
私も思いました。
弊社のショチョ様にも聞いてみたら「さすがに関係ないでしょ!?」と。
しかーし、なんと関係ありあり。ビスマルクの名前をそのままとったようです。
19世紀後半、マダガスカル島でこのヤシを発見・研究したドイツ人の植物学者らが、母国の偉大な政治家であるビスマルク宰相に敬意を表して名付けたというのだから、もうそのままです。

しかも、植物の属名に政治家の名前が属名に採用されるのはかなり珍しいケースのようです。
種小名に首相名が付けられるのではなく、属名に政治家の名前ですよ。
植物ではない、ほかの生物に政治家の名前が付けられる例はあるようです。
例えば、あのバラク・オバマ元米国大統領。なんと絶滅したトカゲの一種の属名にオバマ前大統領の名前が捧げられたそうです。
その学名はObamadon gracilis(オバマドン・グラキリス)。
約6600万年前の白亜紀後期に北アメリカに生息していたのだそうです。
オバマドンのドンは「西郷どん」のどんではなく「歯」の意味を持つodonに由来します。オドントグロッサムのドンと同じ。種小名の「グラキリス」は「ほっそりとした」「優美な」を意味します。オバマ大統領の「まっすぐで美しい歯並びと、輝くような笑顔」に敬意を表し手とのことです。
ほかにもカリフォルニア産のトタテグモは「Aptostichus barackobamaigracilis」、アメリカの淡水魚は「Etheostoma obama」などが知られていますが、種小名であるケースの方が多そうです。
ビスマルキアの種小名はnobilis(ノビリス)。
つまり、学名をBismarckia nobilisといいます。
nobilisはラテン語で「高貴な」「気品のある」「壮大な」という意味を持っています。つまり、この植物はビスマルクに捧げられた高貴で壮大な植物ってことでしょうかね。その猛々しくも美しい姿が、まさに鉄血宰相ビスマルクの姿にふさわしいということだったのかもしれません。
大手町か八重洲かどこか忘れましたが、その辺りの新しい商業施設に入っている1階のコーヒーショップの入口に、ドカーンとこのビスマルクが置いてあったのをすごく鮮明に覚えています。こんな風に使うんだな~と思ってお店には入らずにお店の前でぼーっと立ちすくんでしまいました。
こちらは、フラワーデザイナーのフルールフルーリール松島理恵子さんのインスタ。ビスマルキアが使われています。なるほどこんな風に使うのかー。
では、ピザのビスマルクはどうなんでしょ。また別の由来でしょうか。
いえいえ、これまた鉄拳宰相ビスマルクに由来した名前です。
ビスマルクが「目玉焼きをのせたステーキ」を好んでいたことから、卵をのせた料理をなんでも「ビスマルク風」と呼ぶようになったのだとか。
★よくあるビスマルク料理
・ピザ・ビスマルク(半熟卵をのせたピザ)
・ステーキ・ビスマルク(ステーキに目玉焼き)
・ハンバーグ・ビスマルク(ハンバーグに目玉焼き)
・アスパラガス・ビスマルク(アスパラに卵を添えた料理)
ビスマルク、偉大なり~。オバマさんもやね。
植物にはいろいろなところに社会や歴史との接点があるものですの。
➾そんなことを書きたかった『はじめての切り花ガイド』はこちら。
※今回はビスマルクのことには言及していませんが。

日本農業新聞報道部次長の柴田記者が書いてくださった書評はこちら(クリックで拡大)⇓
それではみなさま、ごきげんよう。












