「香りの提案」大田花き花の生活研究所

※本ページの情報は 2006 年時点のものです。花きの香りについては文化的情報としてみなさまにご参照いただきたく、ここに調査結果をご紹介いたしますが、弊社では香りの調査事業は終了いたしました。本内容のお問い合わせにつきましては、対応いたしかねます旨、予めご了承くださいませ。

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スルガダイニオイ

Category: 花木類

スルガダイニオイについて

大島桜の中でも、こと香りの良い品種として知られるのが「駿河台匂」です。
江戸時代、駿河台にあった武家屋敷のヤマザクラの中に非常に香りが良い樹があり ”スルガダイニオイ(駿河台匂)”と名付けられたといいます。花期は4月中旬~下旬、ソメイヨシノなどの一重桜よりも若干遅れて咲き始めます。

市場では啓翁桜、彼岸桜、吉野桜、東海桜などをはじめとする30種近くの桜が切枝として出回っていますが残念ながらスルガダイニオイは現在のところ流通がありません。スルガダイニオイは東京都内であれば千代田区駿河台三丁目(道灌道)をはじめ、多摩森林科学園のサクラ保存林などでも見ることが出来るようですので、お花見シーズンには足を運んでみてはいかがでしょうか。

スルガダイニオイの香りとは

スルガダイニオイの小花を寄せ集めて香りを嗅ぐと、ほのかに甘いフローラルノートが感じられます。

桜の花の香りは微香ですが、その特徴は和菓子の桜餅に使われている桜の葉の香りに表れています。桜餅の葉の独特な甘い香りは「クマリン」という香り成分によるもので、桜の花や葉に多く含まれている特徴的な香りです。クマリンの香りは花や葉を塩漬けにして糖分が分解されることによって香り成分が生成されるため、生の花や葉からは強い香りを感じないことが多いようです。
桜の花の香りには、このほかバラの香りの「フェニルエチルアルコール」、杏仁豆腐に見られるアーモンド様の香りの「ベンズアルデヒド」、スパイス(八角)の香りの「アニスアルデヒド」などを含み、甘くほのかなフローラルノートを形成しています。

※掲載写真は桜のイメージ写真です。

マグノリア

Category: 花木類

マグノリアについて

マグノリアはモクレン( Magnolia liliflora) 、ハクモクレン(Magnolia heptapeta)、タイサンボク (Magnolia grandiflora) など、属名にMagnoriaを持つ植物の呼び名です。アジア大陸とアメリカ大陸が原産地です。ハクモクレンやモクレンは1月上旬から3月下旬まで市場に流通します。タイサンボクは主に葉を楽しむ枝物として夏から秋にかけて出回ります。開花時期は5月から6月にかけて、大輪の乳白色の花と香りを楽しむことが出来ます。

マグノリアの香りとは

マグノリアの中でもモクレン・ハクレンは、華やかで上品な甘さのある香りが特徴となっています。一方香料業界におけるマグノリアの香りとは、タイサンボクの花から採集されたものを指します。
タイサンボクの花の香りはジャスミンやオレンジフラワー(ネロリ)、レモンの香りをともなうイランイラン調の香りで、天然精油は香水の創作などに使われます。このマグノリアの香りをテーマに創作された「L’INSTANT DE GUERLAIN ランスタン ド ゲラン(ゲラン社)」などは著名な香水として知られているようです。

ロウバイ

Category: 花木類

ロウバイについて

ロウバイは冬を代表する芳香花木です。関東では主に埼玉県・赤山から出荷されています。赤山地区は江戸時代から将軍へ謙譲花を栽培してきた、歴史ある花木類の生産地です。市場では‘老梅’で流通していますが本当は、蝋梅(ロウバイ)で蝋細工のように美しいからという説や、臘月と言う別称を持つ12月に咲く花という説もあります。

ロウバイの香りとは

ロウバイの香りは甘くフルーティで、微かに石鹸のような清潔感がある香りが特徴的で、ニホンスイセンの香りと似ているようです。これは主成分のシネオール、ボルネオール、リナロールなどの芳香成分によるものです。

ロウバイの香り楽しみ方

早春の寒気の中で、春を感じさせてくれる花がロウバイです。
冬限定のロウバイ。是非、玄関やリビングルームなどで冬の香りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

川下りで有名な埼玉県秩父にある長瀞町には、ロウバイの花の名所といわれる宝登山頂 ロウバイ園があります。ロウバイ園は、広さ約2,000㎡で、約500株(2,000本)の3種類の蝋梅が植栽されています。宝登山山頂から秩父の明峰「武甲山」「両神山」などを一望した後は、是非ロウバイ園へ足を運び、丘陵一帯に咲くロウバイの色と香りを楽しんでみてはいかがでしょうか。