「香りの提案」大田花き花の生活研究所

スイセン

Category: 球根類

 

スイセンとは

多くの原種が自生するヨーロッパにおいては、300年もの品種改良の歴史を持ちイギリス上流階級の人々の間で愛好されました。英国王立園芸協会ではスイセンの国際分類を定め、約1万種以上品種登録されています。オランダでは市場に60種もの品種が切り花として出荷される。日本へはシルクロードを経て、中国から平安時代末期に渡来したといわれます。切花流通品種においては10月下旬~2月上旬まで日本水仙、12月下旬~4月中旬までラッパ水仙が流通しています。

スイセンの香りとは

系統により異なる香りをもちますが、全体の香りの印象はジャスミン、ヒヤシンス、ロウバイ様の透明感のある強い甘さの中にバイオレットの葉様のグリーンの香りが特徴となっています。拡散性の強い香りで、群生していると特徴的な香気が遠くまで届きます。

香料業界においてスイセンは貴重な天然香料として知られ、かつてはクチベニスイセン、フサザキスイセン、キズイセン(ジョンキル)の3種から香料を採集されていたといわれています。
これまでスイセンの中で芳香性が高いとされてきた系統は上記の3系統のみとされてきましたが、弊社の調査によって他の系統や、またこれらの交配種にも芳香性の高い品種が数多く見つかりました。近年のラッパスイセンの育種品種の中にはバニラ、シナモン、シトラス(柑橘の香り)、スミレ様の香りの水仙も見られ、従来のスイセンの香りにとらわれないバリエーションが明らかになりました。こうした芳香品種の科学的な香気成分を知ることで詳細な香り情報を構築することは、今後も重要になってくると思われます。

スイセンの香りのタイプ分類

弊社では、切り花流通のある品種を含む園芸品種および、千葉県の育種家 小森谷氏が手掛けたラッパ水仙の交配種 約220品種の芳香調査を行い、6タイプの香りに分類した。

※上記代表品種の一部は、千葉県の育種家 小森谷氏による育成品種のため常時切花流通しているものではありません。

芳香性 の高いスイセン

切花流通品種の中から、芳香性の高いスイセンを以下にご紹介します。

◆タゼッタ系水仙(Division8)

代表品種:ペーパーホワイト
香りの特徴 :フェノール、クレゾール(薬品臭)様でインドール臭がやや目立つ強い香り。品種改良では交配親として使われる。インドールはジャスミンに多く含まれ拡散性の高い香りだが、含有量が多いとアニマリックな香りになる。 

※日本水仙はタゼッタ系水仙だが、香りの分類においてはこれに属さないため下記に別途掲載する。

◆ニホンスイセン

香りの特徴 :ジャスミン、蝋梅様の爽やかな香り。透明感と強く広がりの在るヒヤシンス様の甘さをもつ。

◆ジョンキル(Division7)

代表品種:ジョンク(ジョンキル)
香りの特徴 :柑橘の爽やかさとコクのあるヒヤシンス様の甘さ。インドールが香りの広がりを強めている。芳香のあるスイセンの中では最も香りが強く、現在も香料用に栽培されている。香気成分は安息香酸メチル、安息香酸ベンジル、桂皮酸メチル、メチルベンゾエイト、メチルシンナメイト、リナロール、インドール、メチルアンスラニレートなど。