OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

進化とは、伸びるか縮むか

2015.05.27

先週、会社の健康診断を受けました。

日ごろの態度はサイズLLですが、身長は日本女性の平均より少し低く、Sサイズなアタクシ。日本人女性の平均身長は年々少しずつではありますが伸びていいるようなので、平均身長との差がどんどん広がっていきます。

厚生労働省のデータによると、30代女性の平均身長は、1950年から2010年までの60年間で10cm程度伸びています。

生物は、より環境に適した方向に進化していきますので、今の環境ではある程度身長の高い方が優位ということなのかもしれません。

 

しかし、「背丈が高くなることばかりを進化とは言わない」ケースはよくあります。

小麦や稲がその好例と言えるでしょう。

小麦や稲は背が高い方が収穫量が低くなります。高いと台風などで倒れやすいからです。すると必然的に収穫量は減ります。背丈が低ければ、倒れにくいばかりでなく、その分背丈を伸ばすために使われる養分が実を作る方に回りますので、収穫量も増加します。

背丈が低くなる性質を「矮性」といいます。「矮」とは「小さい」「低い」という意味です。

例えば、日本生まれの小麦「農林10号」は矮性で、大変質の良いものとして注目されました。これは海外で「ノーリン・テン」と呼ばれ、背丈が2メートル近くあったメキシコ在来の小麦と交配され、ノーリン・テンと背丈の変わらない品種が次々と誕生しました。

その中に収穫量が倍近くになる「ソノラ」という品種がありました。「奇跡の小麦」と言われたこのソノラは、インドやパキスタンなど開発途上国において数億人もの食糧飢餓を救い、「緑の革命」 の引き金となりました。この品種の育成者こそ、ノーマン・ボーローグ博士(米国の農業学者)で、彼は世界の食糧不足の改善に尽力したとして、1970年にノーベル平和賞を受賞しました。

 

稲も品種改良の方向性は矮性化、つまり背丈を短くすることです。

稲の背丈の平均は明治時代には約120cm、昭和40年代には約100cm、近年のコシヒカリは80-90cmとなっています。この矮性化に伴い、現在の収穫量は1900年代初めに比べ約2倍になったといいます。2005年に品種登録された「恋しぐれ」や「のびのび」というお米はさらに背丈が低いものです。今後、日本の稲はコシヒカリより10-20cm背丈の低いものが出てくるのではないかと期待されています。

 

人の身体の進化は(とりわけ日本では)伸長傾向にあるようですが、このように矮化傾向・背丈の縮小を進化を呼ぶこともあるわけですね。

 

ま、背丈の問題はともあれ、アタクシはアタクシなりに少しでも前に進んでいけるよう努力してまいりたいと思います。

 

(以上、NHKカルチャーラジオ「植物の不思議なパワー」(田中修先生)2015年5月22日放送分を参考にさせていただきました。)

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