OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

セミナー:疲労回復の科学

2018.07.18

暑いのが好きで、例年お盆過ぎくらいまでエアコンを点けずにやり過ごす花研ブロガー2号ですが、さすがに今年の暑さは尋常ではありません(と、暑さが好きな私でも思います)。早くもエアコンを点け、夜中もエアコン漬け生活が始まりました。夜に快適な環境を作っておかないと、良い睡眠がとれず翌日の質に悪影響があるという自身の経験からです。

 

そんな睡眠と疲労との関係を科学的に裏付ける話を先週セミナーでお伺いしました。日本切花輸出入協会様主催、「疲労回復の科学」とのタイトルで、疲れを脳科学の観点から解明し、疲労を回復、生活の質の向上、業務のパフォーマンスを上げるために何が効果的であるかについてお話でした。

講師は理化学研究所の水野敬先生。

日本人は「疲れている」6割、「慢性疲労」(疲労感継続6か月以上)4割で突出して多いのだそう。他の先進国(米国、中国、スウェーデンなど)は2割程度。ここでの「疲れ」の定義は主観的なもので、「本人が疲れていると思っているかどうか」だそうです。

疲れを解消するには、質の良い睡眠を取るのが最も重要。また逆に良い睡眠がとれていないと疲労を感じることが多くなるそうで、疲労と睡眠に密接な関係があることがわかりました。

日本や韓国の睡眠時間は先進国の中でも最短クラス、鬱を引き起こし自殺が多い国。良い睡眠がとれれば、疲労回復になるばかりでなく、鬱症状を未然に回避することができ、職場でのパフォーマンス向上にもつながるのだとか。

脳内物質であるセロトニンの不足が疲労の原因として挙げられますが、昼夜逆転の生活、太陽光の不足、栄養不足などでセロトニンが不足する傾向にあると。これらの生活をできるだけ避けることも重要。

 

そのほか、疲労回復に効果があるものとして、「入浴」(微細気泡があるものはさらに良い)や疲労回復に効果がある成分として還元型コエンザイムQ10、アミノ酸、クエン酸などと並び、「グリーンの臭気」が挙げられました。

グリーンの臭気(Green Odor=GO)とは葉が持っている成分で、青葉アルデヒド、青葉アルコールと呼ばれるもの。抗疲労に効果があると科学的に立証されているもののひとつです。GOで疲れを抑制できることが分かっているので、森林を散歩することは疲労回復に効果。呼吸法を使いながら森林浴を行えばさらに効果的なのだそうです。

 

成分ばかりでなく、視覚からも疲労回復を期待できるため、緑のある景色を見ることのほか、整ったインテリア、きれいな写真を見ることは、疲労回復には脳科学的に正しいのだそうです。つまり部屋や仕事の空間を片付け、生活空間に美を取り入れることも疲労回復に繋がる、事の効率も上がるということですね。

聴覚的に「あと5分で終わるよ!」という一言で、疲労感がリセットされやる気が起こる。

味覚的にもバナナに含まれるトリプトファンなどが疲労回復に効果があるのだそう。オリーブオイル(特にスペイン産)は抗酸化作用が強く、オーバーワークなどで発生した活性酸素を除去する効果があるのだとか。130ml×4週間摂取で中性脂肪22%減の結果も紹介されました。

 

個人的にも興味深かったのは「疲労は伝染する」ということ。

「ハッピーは伝染する」と聞いたことがあります。幸せな人と一緒にいると、その次の次の人まで幸せな気持ちになると。

実は疲労もそうで、「疲れた人を見ると、自分まで疲れ始め、疲労が“伝染”していき組織のパフォーマンスが下がるのだそうです。これは自分でも感じたことがありいます。しゃべり方や所作などがいつも力が抜けすぎて、だるそうにしている人がいたのですが、その人と話すと必ずその後自分自身も大変だるく、活力が奪われた感じになっていました。自分でも不思議だと思っていたのですが、科学的に根拠のあることがわかり、10年以上前のことながら、妙に納得してしまいました。

チームのためにも疲労感を露骨に出さない、あるいは疲労感を出している人に近づかないというのも疲れないための手段なのですね。

以上、科学的に疲労回復にアプローチして、この暑い夏を少しでも健やかに乗り切るヒントになりますようご紹介いたしました。

セミナーを拝聴したアタクシが個人的に内容の一部をまとめたまでですので、発表内容の真意と異なっている部分があった場合にはご容赦ください。

講師の水野敬先生は、著書もありますのでご興味のある方は是非ご覧になることをお勧めします。

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