OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

花を詠った古典“ユリ”

2011.06.20

夏の季語でもあるユリ。鎌倉ではアジサイに引き続き、230株ものユリが見ごろを迎えているようですが、この時期にぴったりの清々しさと清涼感があります。

『万葉集』では女性のイメージと重ねて数多くの歌が詠まれています。

 

「夏の野の繁みに咲ける姫百合の 知らえぬ恋は 苦しきものそ」(『万葉集』大伴坂上郎女)

 

夏草の繁みにひっそりと咲く可憐な姫百合を片思いの恋に苦しむ女性(=自分)に例えて歌ったものです。

 

 

「ふるさとの 庭のさゆり葉散りて 蛍とびかふ夏の夕暮れ」 (秋篠月清集)

蛍の導線と凛と立つ百合の直線が叙景的です。

ユリの語源は「揺る」からきているといわれます。風に揺られる姿からその名が付けられたのですが、「~歩く姿は百合の花」と美人の例えになるのも、野原で楚々と揺られつつも、可憐で清楚なその姿が人々の心をとらえたからではないでしょうか。

 

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(ここほれわんわん「花暦カレンダー」2010年7月より)

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