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ネーミングの秘密 “母の日編”

2011.05.05

以前、小欄で「ネーミングの秘密」をご紹介させていただいたことがありました(2010年6月14日)。今回はその第2弾“母の日編”です。

 

そのきっかけはこんなことでした。
アジサイ販売の最盛期だった2008 年のある日、あるお花屋さんから、
「ちょっと(怒!)、どうして母の日に売れるアジサイに“ババリア”なんて名前付けんのよ!!

こんなにきれいなのに、この名前が付いているだけで売れなくなっちゃうじゃない!」

というお電話を頂戴いたしました。たまたま応答した私は、開口一発言われた時には驚いてしまいましたが、冷静に考えてみると確かにお客様のおっしゃる通りと思いました。

恐らく日本人が付けたのではないというところまではわかりますが、なぜ「ババリア」なのか。疑問に思い、調べてみました。
ババリアとはドイツの連邦州のひとつで、南部にあるバイエルン州のことです。州都はミュンヘン。

英語でバヴァリア(Bavalia)と呼ぶところからババリアという名前が生まれたようです。

ちなみに、お菓子の「ババロア」というのをご存知かと思いますが、本当はバヴァロア(Bavarois)といい、フランス語で「バイエルンの」という意味です。
このババリア地方は、森と多くの湖に囲まれたとても美しい所で、食べ物もおいしく、しばしばクリスマスの周遊ツアーとして旅行会社が企画する場所でもあります。

恐らく新品種のアジサイに、英語圏(もしくはラテン語圏)の人がこの美しい地名にちなんで命名し、日本に入ってきたときに「バヴァリア」が「ババリア」になったのでしょう。
このことをお電話をくださったお花屋さんにお伝えすると、
「そうね。このアジサイのババリアは初夏からずっと咲いていて、日を追うごとに次々と色を変え、様々な表情を楽しめると同時に、その美しい自然に囲まれた湖面の色さえも思い起こさせるわよ。そのようなことがわかっていれば、お客様にも説明して販売できるし、母の日にもらった方も嬉しいはず。ただの“ババリア”でもらうよりは 100 倍いいわよね。できればバヴァリアとかバイエルンとかの方が良かったけど、せめてその説明が商品についていればもっと売れるのにね。」とおっしゃっていました。

販売に携わる方ならではのご意見で、ごもっともと感じます。ちなみに、卸売市場では出荷された名前を勝手に販売することはできません。
確かに、日本のマーケットで母の日に「ババリア」という名前で何かを売ろうというのは、アジサイではないにしてもかなり挑戦的なことにさえ感じます。
この音感では日本のマーケットには響きにくいでしょう。良い商品なので実際は評価されているようですが。

海外の種苗を日本で販売する際のネーミングには、やはりルールがあるのでしょう。しかし、できるものであればそのマーケットに合ったネーミングをしたいものです。

そこで、種苗や生産に携わる皆さまがご自身が名前を付けることがありましたら、以下のことを考慮してみてはいかがでしょうか。

<要素>       < ポイント>
親しみ         親しみやすいか。ネガティブな印象はないか。
意味伝達力     商品特性(どのような商品なのか)と一致しているか。

             商品特性をすぐイメージできるか。
視覚力         パッケージなどに表示したとき、視覚的に訴える要素があるか。
音感          一度聞いただけで覚えられるか。覚えやすさ、発音のしやすさ、音の響きや印象の良さはあるか。

インパクト      マーケットでいち早く覚えてもらうためには、上記項目に加えて、これも大切。前回のネーミングの秘密の時に、そのポイントを説明させていただきました。日本名の場合は濁点が含まれると、インパクトが強くなる傾向があるようです。

また、海外の品種をそのままの名前で販売するときは、ネーミングで損をしないように、その名前の由来を説明するタグなどが付いているといいですね。お客様への訴求効果がグン!あがると思います( ^―゜)b

 

今年の母の日も、ババリアがその本来の美しさを認められ、人気であることを祈ります。

                  ババリア(バイエルン)の街並み

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